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株式化 Q&A
 Q 合名会社・合資会社の現状はどのようになっていますか?
合名会社・合資会社の設立は、昭和29年頃を境にあまり見られなくなっています。株式会社が経済成長期、バブル期に増加の一途をたどったのに比べ、合名会社・合資会社は増加することはありませんでした。
近年では、小額の資本金で設立できるため合名会社・合資会社を設立するケースが見られますが、しかし全体としては減少を続けています。
合名会社・合資会社の制度自体が今日の社会にマッチしにくくなっているように思われます。
 Q 合名・合資会社のどんな点が問題なのですか?
合名会社・合資会社の問題点はいくつかあります。
1)最も有名なのは無限責任の問題です。株式会社の株主は、会社に対して出資した金額以上の責任は問われませんが、合名会社・合資会社の無限責任社員は、会社の債権者に対して、当然に個人財産までも責任が及びます。
2)また、平成3年の改正商法によって最低資本金に満たない株式会社・有限会社が、合名会社・合資会社に組織変更させられることになったため、従来の『老舗』イメージが、『古臭い』、『株式会社、有限会社より格下』といったイメージに変わり、営業や人材確保の面で難しくなったということも聞きます。ある建築会社では、お客さんに「合資会社だから大工さんが金槌とのこぎりだけで家を建てているのかと思った」などといわれたそうです。
3)近年では、裁判での判決が出たこともあって、合名会社・合資会社の出資金への課税が問題になっています。
4)その他にも・・・
 Q 出資金に対する課税の問題とは、どんな内容ですか?
同族経営の株式会社であれば、株主が死亡した場合には、その株主の持っている株式が相続財産として相続税が課税されます。その株式の評価は、多くの場合、会社の時価によって評価した純資産と上場会社を参考に税務署が決定する類似業種比準価格なるものをミックスして計算します。これによって時価による純資産評価より相当安く評価されます。
一方、合名会社・合資会社の無限責任社員のもつ出資金については、原則、まず「みなし配当」として所得税が課税され、その後に相続税が課税されます。時価で評価した純資産を払戻したとみなされますので、「みなし配当」への課税は所得税・住民税もあわせて最高税率の50%になる可能性もあります。その残りに対して相続税が課税されますが、ここには先述の類似業種比準価格を考慮する余地はなく、所得税・相続税を合わせると株式会社の場合に比べかなり高額になります。このような、課税の手順は裁判により判決(神戸地裁(平成3年行ウ弟14号事件)も出ていますから、くつがえすのは難しいと思います。
 Q なぜ、「みなし配当」とされるのですか ?
無限責任社員は、商法では死亡=退社ということになっています(商法85条、147条)。
また商法では、退社によって無限責任社員の出資割合に応じて払戻をすること(商法89条)も規定しているため、税務署は、死亡と同時に会社の純資産相当額を出資割合に応じて払戻されたと解釈するのです。
この払戻は、利益の配当とみなされて、これを「みなし配当」いうのです。前述の判決では商法の流れからいけば、配当として課税しないほうが不自然であると言っています。
 Q その他の問題点とは何ですか?
近年、合名会社・合資会社の「払戻請求権」に関しての問題がクローズアップされています。
「払戻請求権」とは、合名会社・合資会社の社員は正当な手続きをおこなえば、前述の退社=出資の払戻を受けることが出来ます。
このときの払戻は、時価の純資産評価に基づいた金額を言いますので、会社の財産のうち土地など換金性の低い資産がたくさんある場合、払い戻しのための資金を捻出しなければならないということになります。
実際に起こったケースでは、1%の有限責任社員3人にそれぞれ1億7778万円、0.5%の有限責任社員1人に8,889万円、の支払を命じた裁判の判決(平成3年(ワ)第2867号)もあります。
 Q 合名会社・合資会社は、どうしてそんな不利益な扱いを受けるのですか?
一般に、株式会社が物的会社と呼ばれるのに対して、合名会社・合資会社は人的会社と表現されます。
人と人とのつながりや信用を重視する組合に近いとされているのです。
そして、前述のように商法には死亡=退社という規定があります。
その人がなくなればその人とその会社とのつながりは一旦清算されると考えられるのです。
簡単に言ってしまうと、親から子でも当然にはその社員資格を引継ぐことは出来ないのです。
そのため、当然に当初の出資金額を払戻という形で会社から清算することになるのです。
これらは、商法に規定されていることですので、合名会社・合資会社を設立するということは、そのあたりをも理解の上で設立したことになりますから、問題が起こってから知らなかったでは済まされないのです。
 Q どうすれば解決できるのですか?
合名会社・合資会社の抱える問題は、すべて株式会社では考えられない問題ばかりです。
つまり、株式会社になってしまえばいいのです。
しかし、ご存知のように合名会社・合資会社は株式会社に組織変更できません。
そのため、私たちは現在認められた制度をフルに活用して合名会社・合資会社を株式会社に変えます。
この方法は、登記を変えるだけの組織変更ほど簡単ではありませんが、商法で認められた方法ですので、問題になることはありません。
 Q 今の会社を清算することになるのでは?
今ある合名会社・合資会社は、なくなってしまいます。
しかし,それは一般に言う清算ではなく解散になります。
 Q その際、莫大な税金がかかるのですか?
その手続きについて特別に税金が発生するのは、固定資産の名義を変更する際の登録免許税がほとんどです。
登録免許税も、売買による取得とは違う低い税率が適用されます。これらについては、事前に計算してお知らせすることも出来ます。
 Q その他に費用がかかるのでは?
費用としては、前述の登録免許税と私たちの頂く報酬(手続きの難易度によっても異なりますが、事前に契約の上行います)です。
ただし、株式会社ですので1000万の資本金を一時的にでもご用意いただく必要がありますが、これについてはいろいろな方法がありますのでご相談ください。
また、その他にかかるものについても、事前にお知らせいたします。
 Q 許認可があるのですが、株式化は可能でしょうか?
株式会社化の実績を見ていただいて、過去に経験している許認可については、実際に完了していますのでご心配には及びません。
また、その他の許認可でもほとんどの場合が可能です。
許認可の問題は、多くの会社が抱える問題で、その重要性は充分理解していますので、細心の注意を払ってやっています。
また、許可省庁についても充分説明し、随時確認を取りながらやっていますので、許可がなくなったりすることはありません。
余談ですが、合名会社・合資会社自体の数がすくないため、このような手続きについても許可省庁のほうが知らないケースのほうが多いくらいですので、許可省庁への説明からはじめる場合も多々あります。
許可省庁の説得に時間がかかる場合は、許可省庁の確認が取れるまでは、株式会社化の手続きをストップしますので、いままでどうり合名会社・合資会社のまま問題なく営業できます。

また、許認可ではないのですが建設業経営事項審査に関しても営業年数を引継いでいますし、入札に関して、官庁関係の発注者サイドでは過去の工事実績をそのまま引継いでいただいています。
 Q どのくらい時間がかかるのですか?
前述のとおり、許可がある場合は許可省庁の対応によって変わってきますが、許可のない場合は、最短2ヶ月で完了することも出来ます。
許可がある場合でも、最大6ヶ月程度あればほとんどの場合大丈夫です。
 Q どんなタイミングでやるのですか?
タイミング的にはいつでも可能ですが、手続き上の便利さを考えるとやはり、現在の会社の決算時期にあわせることをお勧めします。
 Q 事務員や関与税理士に負担がかかるのでは?
許認可がある場合、事務員の方にお手伝いいただくことになりますが、その他については,通常業務の妨げにならないような方法をとりますので、特別な負担はかかりません。
また、関与税理士の先生についても、合名会社・合資会社としての最後の決算から、株式会社としての最初の決算までの間にすべて完了させますので、特別な負担はありません。
その間の、特別に発生する届出・手続きは原則としてすべて当方にて行います。
 Q どのような合名会社・合資会社が対象ですか?
前述のとおり、合名会社・合資会社は一貫して減少傾向にあります。これは解散できる会社が、どんどんなくなっているということだと思われます。
いいかえると、皆さんも含めて現在残っている合名会社・合資会社は、解散すると税金がたくさんかかるとお考えの会社ではないかと思います。
解散すると税金がかかるというのは、会社の不動産が買った当時より値上がりして、いわゆる含み益をもっているということですから、みなし配当や払戻請求の問題が起こりうる危険性があるということです。
解散すると税金がかかるとお考えの会社は、一度、会社財産の時価評価をして、検討する必要があるのではないでしょうか。

また、実際に株式会社化した中には、「営業で不利だから」との理由で株式会社にしたいとお考えの経営者の方もたくさんいらっしゃいました。
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